ソーシャルレンディングとは?沿革・他の投資と違い・メリットデメリット

ソーシャルレンディングは投資家がソーシャルレンディング運営会社(業者)を通じて企業などにお金を融資し、その見返りとして金銭的なリターンを得る比較的新しいタイプの投資方法です。

株やFXのように常時PCやスマホにかじりついていないと損をしやすい投資タイプとは対象的に、一度投資をしてしまえば一定期間は放置で利益のリターンが入ってくるため、張り付き型の投資に疲れたユーザーに注目されています。

また必要な専門知識も少なくてすみ、口座開設して、お好みの投資先を選ぶだけでOKという手軽さから、口座で眠っているお金を投資運用したい女性層にも人気を集めています。

この記事ではソーシャルレンディングという言葉は聞いたことがあるけど、内容はよくわからないという方に向けて初めてでもわかりやすく説明していきます。

 

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングは、そもそも“クラウドファンディング”の一種です。

クラウドファンディングにはいくつか種類がありますが、ソーシャルレンディングはその中で“投資型クラウドファンディング”と呼ばれるタイプに分類されます。

投資型クラウドファンディングはさらに融資型、ファンド投資型、株式投資型の3種類に分けられ、ソーシャルレンディングは融資型に当たります。

融資型という名前からもイメージできるように、ソーシャルレンディングは投資家がクラウドファンディング運営会社を通じて企業などにお金を融資することで、一定期間継続的に(若しくは一括で)金銭的なリターンを得る投資のアプローチです。

そしてソーシャルレンディングの運営会社は、お金の借り手と貸し手をマッチングする役割を担います。日本初のソーシャルレンディングの運営会社ではmaneo(マネオ)などが有名ですよね。

 

ちなみに、クラウドファンディングには金銭的なリターンが伴わない寄付型や品物、権利を購入する購入型などがあります。ソーシャルレンディングは一般的なクラウドファンディングと違って、お金のやり取りのみでリターンが行われる少し特殊な形態が特徴になっています。

 

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングは、運営会社が投資家から集めたお金を中小企業などに貸し付け(=融資)、返済の際に発生した利息分を投資家にリターンする仕組みになっています。

要は、投資家はソーシャルレンディグ業者の企画(融資案件)に「投資」をし、ソーシャルレンディング会社がその投資金をもとに融資を行うため、融資先はソーシャルレンディング会社に返済義務を負いますが、投資家と融資先はお金の貸し借りとしては無関係なため返済義務を負わないのです。

ですから、ソーシャルレンディング業者がお金を返せないといえばそこまでになってしまうため、お金を“投資”するソーシャルレンディング業者は信頼の置ける業者を選ぶ必要があるわけです。

ソーシャルレンディング事業と法規制

投資家からお金を集めるためには、ソーシャルレンディングの運営会社が金融取引業者の登録をして、サービスを提供するための許可を受ける必要があるため、運営会社は金融庁の管轄のもと事業を行っています。

というのも、ソーシャルレンディングはお金を第三者から預かるお金を第三者に貸すという二つの業務があります。この二つの業務は貸金法できちんと規制されており、ソーシャルレンディングを行う運営会社は資格の取得が必要になるからです。

金融取引業者には第一種と第二種があり、第一種の方が登録の基準が厳しくなっています。また、運営会社は中小企業などに融資を行うために貸金業者の登録もしておかなければなりません。

金融取引業者の登録と貸金業者の登録は、運営会社と分社した子会社がそれぞれ行っているケースもあります。

 

ソーシャルレンディングのデメリット

一見すると、ソーシャルレンディングは誰でも気軽にトライできるお得な融資のように見えるかもしれません。

ただ、ソーシャルレンディングも1つの投資商品です。したがって、運営会社は法律のルールをしっかりと順守してクライアントにサービスを提供することが必要です。

FXや株のような元本保証制度は義務化されていない

ソーシャルレンディングは実態は融資ですが、法律上は資金の返済義務がない「投資」に分類されます。

そのためソーシャルレンディングで投資をした場合、あなたが投資した金額が何らかの理由で返済できなくなった際も元本保証がされない点がデメリットです。

そのため、出資したお金が100パーセント返ってくる融資ではない点に注意が必要です。例えば、運営会社が融資をした中小企業がお金を当初の予定通りに返済しないと、順調にリターンを得るのが難しくなるかもしれません。

ソーシャルレンディングでは、借り手から返済されたお金の利息の一部が間接的なお金の貸し手である「投資家」にリターンされます。そのため、借り手から返済が行われなければ利息が回収できないため、貸し倒れになる可能性があります。

投資している間は、お金の所有権が自分にない

また、FXや株は証券会社に預けてもお金の所有権は自分にありますが、ソーシャルレンディングの場合は“投資”になるので、一旦お金の所有権がソーシャルレンディング業者に移行する点も知っておくべきリスクです。

そのため、ソーシャルレンディングでは途中で資金を戻すということもできませんし、万が一ソーシャルレンディング業者が倒産しても、運用会社には返済の義務は生じないということになります。

ただそれでは投資リスクが高すぎますので、きちんとした運営がなされているソーシャルレンディング業者に関しては、独自の元本保証制度を設けて投資家のリスクを減らす施策をとって信頼を高めています。

 

ソーシャルレンディングのメリット

ソーシャルレンディングはFXや株式投資、不動産投資といった他の投資・資産運用とは少し異なります。

そのためソーシャルレンディングは、他の投資方法に比べると手間がかかりません。FXや株のように細かい値動きなどをコンスタントにチェックする必要もなく、そのままにしておくだけでリターンが得られる点は大きなメリットです。

また基本的に実態としては、一定期間お金を貸し出す“融資”になりますので、世界情勢など外部要因で大きく利回りが変動することが少なく、放置でも安定して利益が出るなど管理の手間が数なくて済むのが特徴です。

また、難しいことがわからなくてもトライできるところや個人が少額から投資できるところなどもメリットの1つに挙げられるでしょう。

ソーシャルレンディングは他の投資・資産運用と何が違うのか?

具体的にソーシャルレンディングが他の投資方法とどう違うのか?どのような利点があるのか主流の投資法と比較しながら説明していきます。

1.FXや株のような値動きの観察・リスクがない

この記事の冒頭でも少し触れましたが、ソーシャルレンディングは一定期間、定額資金を投資する事業形態のため一度スタートしたら返金できないため、約束された期間ひたすら待つだけになります。

一般的な投資であるFXや株式はハイリスクハイリターンな投資法で、短期間で大きな利益が期待できますが、株価の上下などで急激に価格が下がり損をすることもあります。また常時チェックする際に専門的な知識(値動き等を分析する予測力)が必要なため、始めるには勉強する必要があり気軽に参入しにくいことが欠点でした。

逆にソーシャルレンディングはFXや株式のような値動きを心配する必要がなく、知識もそこまで必要ではないため、気軽に参加でき安定したリターンが期待できる初心者向けの投資なのです。

2.不動産投資のような巨額な初期投資は不要

また、ソーシャルレンディングは不動産投資のように、最初に物件を購入するための巨額な投資金の準備も不要です。

そもそも不動産投資をする場合は、始める際に物件を購入することが必要です。そのため不動産投資をするためには、利益を得るためにわざわざ住宅ローンを組む人も多いのが現実です。ただ、それでも入居者がスムーズに得られないと家賃収入というリターンを得るのが難しくなりますから非常に投資リスクは高いと言えます。

ソーシャルレンディングには、そういう意味で1万円から投資が可能なケースが多く、不動産案件も取扱があることから気軽に不動産投資を始めたい人にも人気の手法になっています。

3.貯金に近い手間でお金が増やせる

銀行預金の金利が低く貯金のみでお金を増やすのが困難な時代に、放置するだけで5%前後の利回りが期待できる点はソーシャルレンディングの大きな強みです。主婦層をはじめ、投資に興味がなかった人の間でもソーシャルレンディングは少しずつ浸透しています。
FXや株、不動産投資などは専門的な知識がある経験者の方が有利になることが多いですが、ソーシャルレンディングは初心者でも相応のリターンが期待できます。

 

海外と日本におけるソーシャルレンディングの比較

海外と日本におけるソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは国内だけでなく、海外でも人気の投資です。イギリスやアメリカ、中国では日本よりも先にソーシャルレンディングがスタートしています。

先進国では、一般的に日本よりも投資に積極的な人が多い傾向があります。イギリスやアメリカ、中国などでは「お金は運用して増やす」というスタイルが浸透しているため、ソーシャルレンディングが発達した時期も日本より早かったと言えます。

市場規模も日本より大きく、2015年のアメリカでは日本の100倍以上のお金が運用されているというデータがあります。海外では選べる案件の種類も豊富で、企業向け融資のみならず個人向け融資のソーシャルレンディングも登場している状況です。

例えば、ヨーロッパやアメリカ、中国では個人向け融資であるP2Pレンディングが人気を得るようになっています。P2Pレンディングもクラウドファンディングの運営会社が借り手と貸し手の間に入る点は同じですが、貸し手が個人であるところが日本のソーシャルレンディングとは異なります。

日本の場合、貸し倒れのデフォルトについてはmaneo(マネオ)を除きおおむね海外よりも低くなっているようです。

 

ソーシャルレンディング投資のコツ

ソーシャルレンディング投資のコツ

ソーシャルレンディングのコツは、

  • 一つの案件に投資を集中させるのではなく、分散させる
  • 一攫千金ではなくコツコツ増やすものだと理解して長期運用する
  • 実績や保証の手厚いソーシャルレンディング業者を選ぶ

などを意識することがコツです。

ちなみに、投資先は分散した方がリスクが少なくなることが多いです。

分散投資をするときはジャンルが異なる案件をいくつかピックアップしたり、複数のソーシャルレンディング業者を利用する方法など色々なやり方があるので自分にあった方法を選ぶようにしてみてください。

特にジャンルに関しては、ソーシャルレンディング業者が扱っている案件にもいろいろなジャンルがありますのでまずは見てみると良いでしょう。日本のソーシャルレンディングで多いのが不動産や太陽光発電ファンド、海外の中小企業支援型ローンファンドなどです。

初めてソーシャルレンディングにトライする場合は、比較的安定している不動産などの案件を探してみると良いかもしれません。不動産の案件は多くのソーシャルレンディング業者が取り扱っています。

また、担保付きの案件を選ぶのも1つの方法です。担保がついた案件は貸し倒れの心配も少ないです。

さらに投資経験が少ない場合はまずは少額から投資を始め、投資の感覚を掴んでみることも大切です。ソーシャルレンディングは1万円から始められるため、多額の初期費用を用意する必要が無く、気軽にチャレンジできます。

 

ソーシャルレンディング投資の注意点

ソーシャルレンディングで投資をする際にも注意点はあります。

1つの案件に多額のお金をつぎ込んでしまうなども初心者によく見られる失敗ですが、それ意外にもいくつか注意点がありますのでまとめておきます。

利回りだけでなく、業者の貸し出し金利も確認する

例えば、初めてソーシャルレンディングにトライする人に多い失敗が利回りだけに注目して案件を選んでしまうケースです。

ソーシャルレンディングの場合、案件では投資家に返ってくる利回りだけが記載されていますが、あなたが融資したお金を借りる側の企業には“投資家の利回り+運営会社の取り分”の2つの合計が金利としてかかります。

そのため運営会社の取り分である手数料の割合が大きいと、それだけ借り手が支払う利息が高くなるため、返済リスクもアップし貸し倒れが起きやすくなります。

ですから利回りは案件を選ぶときの参考程度に留め、しっかりと情報収集をしてから投資先を決めましょう。

運用期間が短いとリターンが減るケースもある

また、「運用期間が短いからリスクが少なそう」と余り考えずに案件を選んでしまうのも初心者に多い失敗のパターンです。運用期間が短い案件は早く返済が終わるため、貸し倒れのリスクは多少少なくなるかもしれません。

ただ、運用期間が短い案件は利回りも低い場合が多いです。運用期間が長い案件からリスクが少なそうな案件を探した方が、結果的にリターンが増えることも考えられます。

運用期間が短い案件でも100パーセントの確率でリターンが得られるとは限らないため、慎重に選びましょう。

運用中は資金が動かせない(途中解約不可)

ソーシャルレンディングは融資ではなく投資のため、一度投資したお金は気軽に解約できません。

つまり、定期預金やFXっといった金融商品のように期間の途中で現金化することができませんので注意が必要です。

そのため、利回りが良いからと、使うかもしれない定期預金をつぎ込んでしまうと、払い戻すことができませんので生活に必要なお金や運用期間中に使う可能性があるお金は投資に回さないように注意して投資をすすめてくださいね。

 

ソーシャルレンディングのまとめ

ソーシャルレンディング投資まとめ

ソーシャルレンディングと他の投資の方の違い、たくさんの利点があります。

ただし、一般的な投資とは異なる点も多いので、まずは仕組みを理解して少額から実践してみて感覚を掴むことをおすすめします。

また幾つも案件がありますので、1つの案件に集中して投資をするのではなく、複数の案件に投資するのが失敗を避けるポイントです。

とはいえ1万円から始められて、口座を開くだけでスタートできますので、全体像を掴んだらまずは口座を解説して投資に挑戦してみてくださいね。