株式投資型クラウドファンディングとは?

株式投資型クラウドファンディングは、文字通り株式に投資をする手法です。

それなら株式投資と変わらないよね?と感じるかもしれませんが、個人投資家にとって株式投資以上に大きなメリットがあるのがこの株式投資型クラウドファンディングです。

この記事では、株式投資型クラウドファンディングが他の投資法に比べてどのような優位性があるのかを解説していきます。

 

株式投資型クラウドファンディングとは?株式投資との違いは?

株式投資型クラウドファンディングは非上場企業の株式に投資ができるクラウドファンディングです。非上場企業に個人が投資できる点がこのクラウドファンディングの利点です。

そもそも非上場企業に多いベンチャー企業に投資を行えるのはエンジェル投資家など限られていました。しかし株式投資型クラウドファンディングは個人投資家が少額からでも投資可能であり、ベンチャービジネスに投資をしたい方にとっては嬉しいシステムです。

これまで日本では法律の規制によって株式投資型クラウドファンディングサービスは行うことができませんでしたが、2015年に金融商品取引法の法改正を受け、日本でも2017年以降から株式投資型クラウドファンディングのサービスが可能となりました。

資産運用系のクラウドファンデングの中では比較的新しいタイプのクラウドファンディングです。

なお一般的な株式投資では、利益リターンはお金や商品・サービスなどで返礼されますが、株式投資型クラウドファンディングではリターンを“株式そのもの”として受け取る点が異なります。

 

株式投資型クラウドファンディングの仕組み

株式投資型クラウドファンディングの仕組み

株式投資型クラウドファンディングはベンチャー企業に投資を行えるクラウドファンディングの方法です。店頭有価証券を発行するにあたって、複数の人から少額資金を集めるシステムになります。

資金を集める方法は主にインターネットであり、インターネットを活用することによって広く資金調達することが可能です。株式投資型クラウドファンディングサービスでは、投資家と投資を受けるベンチャー企業とのマッチングが重要なポイントとされています。

株式投資型クラウドファンディングを行い資金を調達する場合には、株式投資型クラウドファンディングサービスを運営しているサイト事業者に申し込み申請を行います。申請後に審査を受けるため、事業計画の提出や決算を開示するための準備が必要です。

株式投資型クラウドファンディングのリターンは金銭や商品などではなく、未上場企業の株を取得することになります。分配金などの直接的なリターンではなく、株式でのリターンとなるのが株式投資型クラウドファンディングの大きな特徴です。

株式投資型クラウドファンディングのメリット

株式投資型クラウドファンディングの一番のメリットは、未上場企業の株式に対して個人による少額投資が可能だという点です。

資産運用という意味では、優良なベンチャー企業であれば、株式投資型クラウドファンディングによって資金を提供し、大きなリターンを期待できるためクラウドファンディングの中ではハイリターンハイリスクに分類されます。

また株式投資型クラウドファンディングでは、少額の投資でベンチャー企業を立ち上げから応援することができるので、リターンだけでなく投資先の成長という喜びが得られる点もメリットの一つです。

株式投資型クラウドファンディングが日本で行えるようになったことで、個人投資家でもカンタンに企業を初期から支援する“エンジェル投資家”の役目を担うことができるようになったのです。

また条件によっては、株式投資型クラウドファンディングはエンジェル税制を受けることができます。エンジェル税制とはベンチャー企業への投資促進のために導入されたもので、ベンチャー企業に投資をした投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。

投資した際と売却時に優遇措置として総所得金額や株式譲渡益からの控除を受けられる場合があります。ただし一定の条件があるため、すべての株式投資型クラウドファンディングに対して適用されるわけではありませんので注意してください。

 

株式投資型クラウドファンディングのデメリット

株式投資型クラウドファンディングの最大のデメリットとしては、未上場企業株に投資をすることになるため、自分のタイミングで自由に売買(現金化)できないという点です。現金化が難しいため、すぐに金銭的なリターンを求めている人には向かないので注意してください。

その他のデメリットとしては、年間の投資額や資金調達額に制限があることです。投資をする場合には、1つの企業に対しての年間の投資額が50万円までと決められています。資金調達をする場合には年間1億円未満であることが必要です。

さらに株式投資型クラウドファンディングは日本では、まだ新しいシステムのため成功実績が少ないというデメリットもあります。また投資家の条件として適格投資家であることが求められることがあります。

適格投資家は株式投資型クラウドファンディングサービスにおいて投資も株の売却も行うことが可能ですが、非適格投資家の場合にできるのは投資のみで、取得したリターンの株はその企業が上場するか買収されないと株の売却を行うことができません

 

株式投資型クラウドファンディング業者

株式投資型クラウドファンディングの業者紹介

株式投資型クラウドファンディングのサービスを提供している運営会社を紹介します。

FUNDINNO(ファンディーノ)

FUNDINNO(ファンディーノ)は日本初の株式型クラウドファンディングサービスです。サービス開始時期は2017年4月であり、2018年8月24日までの段階での累計プロジェクト数は38件となっています。

投資家の資金条件には、有価証券の売買などの経験が1年以上あること、金融資産が300万円以上保有していること、20歳以上80歳未満であることが必要です。そのため誰でも良いというわけではありません。

ファンディーノは累計成約金額などの実績で業界No1の株式型クラウドファンディングサービスです。例として携帯型超音波プローブの開発プロジェクトや越境型物流シェアリングサービスの開発プロジェクトなどがあります。

ファンディーノは店頭有価証券を発行することによって資金を調達することが可能なプラットフォームサービスとして人気です。

GoAngel(ゴエンジェル)

GoAngel(ゴエンジェル)は日本で2番目に株式型クラウドファンディングをリリースしました。サービス開始時期は2017年9月であり、累計プロジェクト数は9件以上となっています。

ゴエンジェルの投資家の資金条件には、DANベンチャーキャピタルの企業審査を通過する必要があります。DANベンチャーキャピタルはGoAngelにおいて最低資金調達額を500万円と設定しています。

ゴエンジェルのプロジェクト例として、クラウド型マルチ言語ERPソフト開発会社の支援プロジェクトや実物大表示アプリ「scale post viewer AR」の開発プロジェクトなどがあります。ゴエンジェルの累計プロジェクト数はまだ多くはありませんが、投資対象となるプロジェクトはDANベンチャーキャピタルが審査しているので信頼性があります。

(旧)エメラダ・エクイティ→(新)Angelbank Convertible Equity(仮称)

エメラダ・エクイティとは、エメラダ株式会社が運営している株式投資型クラウドファンディングプラットフォームです。エメラダ・エクイティは株式投資型クラウドファンディング「Angelbank」に事業を譲渡されました。「Angelbank」は外資系金融機関出身メンバーが保有する経験値とネットワークが強みです。

エメラダ・エクイティのサービス開始時期は2017年11月であり、累計プロジェクト数は9件以上となっています。投資家の資金条件は1つの案件に対して投資金額が50万円以下、さらに1年間で1つの企業に対し出資金額が50万円以下となっています。

エメラダ・エクイティのプロジェクト例として、クラフトビールカンパニーの「Far Yeast Brewing」プロジェクトやスポーツテック企業である「ラントリップ」プロジェクトなどがあります。エメラダ・エクイティはベンチャー企業への相乗り投資が可能という特徴を持っていましたが、Angelbankに事業譲渡されているので注意してください。

UNICORN(ユニコーン)

UNICORN(ユニコーン)は外資系投資銀行と証券会社などの出身者が集まっているという特徴を持っている株式投資型クラウドファンディングサービスです。企業調達の後まで経営の手厚いサポートを行います。

サービス開始時期は2019年であり、累計プロジェクト数は1件以上となっています。投資家の資金条件は反社会勢力でないこと、20歳以上75歳未満であること、金融資金が200万円以上であること、日本国内に住んでいることなどがあります。

UNICORN(ユニコーン)は2019年にスタートした株式投資型クラウドファンディングサービスのため、まだ実績自体はありません。プロジェクト例として、再生医療に取り組む企業のプロジェクトや認知機能の可視化への開発プロジェクトなどがあります。

 

海外での株式投資型クラウドファンディング事情

株式投資型クラウドファンディングの盛んな国は欧米ですが、中でもアメリカでは日本より1年も早く株式投資型クラウドファンディングをスタートさせています。これによりアメリカではベンチャーキャピタルが独占していましたが、状況が大きく変化することになりました。

サービス提供会社として代表的なIndiegogo(インディーゴーゴー)は2008年設立され、サンフランシスコを拠点としています。人工知能技術による会話・感情エンジンを搭載したロボット開発プロジェクトなどがあります。

そのほかにもイギリスのCrowdCube(クラウドキューブ)は、世界的に見ても成功率の高いサービスという特徴を持っています。プロジェクトとしては電気自動車のレンタル事業などです。

 

株式投資型クラウドファンディングのまとめ

株式投資型クラウドファンディングまとめ

株式投資型クラウドファンディングは、ベンチャー企業に投資できる素晴らしいシステムですが、リターンが株式になりますので現金を増やしたい方には向いていません。

また株式投資型クラウドファンディングは比較的新しい投資サービスのため、日本での成功事例がまだまだ少ないのが欠点です。

ですから、最初から資産運用を目的にするのではなく、資産に余裕のある段階で楽しみながら投資ができる状態で応援したい企業を見つけて投資をしていくのがよいかもしれませんね。

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