ソーシャルレンディングで配当金により利益を得た場合、確定申告は必要になるのか気になっている方もいるはず。
そもそも分配金を受け取るときに既に所得税が差し引かれているはずなのに確定申告が必要なのか、住民税の申告はする必要があるのかなど、もしも利益を得た場合に支払うべき税金についても気になっているかもしれません。
この記事では、どういうケースで確定申告が必要になるのかを解説していきますので参考にしてみてくださいね。
ソーシャルレンディングの利益は確定申告が必要です
ソーシャルレンディングは様々な案件がありますが、基本的には確定申告が必要となります。
もちろん確定申告不要の場合もあるのでその点は後述しますが、大前提としてソーシャルレンディングの利益は確定申告の対象、ということを覚えておいていただければ大丈夫です。
では、確定申告をするとどうなるのかと言えば、一例を挙げると、税金が還付される可能性があるというメリットがあります。これは後述する確定申告の必要がない場合でも、恩恵が受けられる場合があります。
確定申告では利益を“雑所得”または“一時所得”に分類
ソーシャルレンディングで分配金が発生した場合は利益を雑所得、もしくは一時所得として税務署に申告する必要があります。金額に対する計算式は、以下の通りです。
- 公的年金などの場合:
収入金額ー公的年金等控除額=公的年金等の雑所得 - 公的年金以外のものの場合:
総収入金額ー必要経費=その他の雑所得 - 最終的な雑所得:
①+②=最終的な雑所得
「必要経費」には売買手数料、振込手数料、通信費やパソコンの購入費、新聞代などを計上できます。
ソーシャルレンディングの利益を確定申告する際の注意点
ソーシャルレンディングの利益を確定申告する際に幾つか注意点があるのでまとめておきます。
特にFXや株など、他にも投資関係をやられている方は、勘違いして申告漏れしないように注意してくださいね。
同じ雑所得でもFXや株式とは税区分が違うので損益を相殺できない
FXや株やっている方で注意したいのが、FXや株とは損益相殺はできない点です。間違いやすいので注意しましょう。
雑所得は収入金額から必要経費や控除額を差し引いた金額のことで、FXや株も雑所得、ソーシャルレンディングの利益も雑所得です。
そもそも雑所得には所得区分があり10種類に区分されているのですが、ソーシャルレンディングは総合課税対象、FXと株は分離課税対象です。
つまりソーシャルレンディングとFX・株での所得は同じ雑所得となりますが、所得区分が異なるため課税対象が別になります。
ソーシャルレンディングが分類される区分(総合課税対象)では、対象となる所得金額すべてを合算して所得税を算出します。
ただFX・株式が対象となる分離課税対象となり、他の所得金額と相殺できない仕組みです。
つまり、株やFXは個々に計算して課税額が算出されるため、同じ“雑所得”であってもソーシャルレンディングの損益と相殺できないということになります。
このことを知らずに、「雑所得だからFXでのマイナスと相殺すれば確定申告不要だね」と思っていると脱税になってしまうので注意してください。
ソーシャルレンディングは繰越控除ができない
ソーシャルレンディングも投資であり、元本割れをして損失が発生するリスクがありますが、繰越控除ができない点がFXや株式投資と異なります。
株式やFXの場合は繰越控除といって発生した損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降に税制優遇が受けられることがありますが、ソーシャルレンディングでは繰越控除はできないので、その点は投資計画を立てる際には注意が必要です。
総合課税対象の所得が年20万以下は確定申告不要
ソーシャルレンディングで確定申告が必要なのは「年20万以上の利益がでたら」ではなく、総合課税区分の所得が年20万以上になるケースです。総合課税対象として該当する所得は以下の通りです。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 給与所得
- 一時所得
- 雑所得
これらすべての合計の利益が年20万以上になると確定申告をしなければなりませんが、それ以下だと申告の必要はありません。
例えば、昼間は企業に勤めており、副業として不動産を持っていて定期的に家賃収入が入ってくる、かつソーシャルレンディングをしている方の場合について考えてみましょう。
そして不動産から定期的に家賃が入ってくるのと、ソーシャルレンディングでの利回りで得る配当金があります。
つまり給与以外の収益は不動産が、不動産所得、ソーシャルレンディングで出た利益は雑所得です。
会社員の給与所得は会社で源泉徴収されていますのでこの分はおいておきます。
計算するのはその他の不動産所得、雑所得です。この金額を合計し、必要経費を差し引いた残り=利益が年20万円以上となった場合は確定申告の必要があります。もし20万円以下なら確定申告は不要です。
ちなみに20万以下の場合は確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要となる点には注意が必要です。
確定申告しない場合、必ず住民税の申告が必要
住民税とは都道府県税や市町村民税のことで、前年の所得を基準として翌年の納税額が決定されます。
副業での収入が20万円以下なら確定申告の必要がなく、したがって住民税の申告もしなくて良いという勘違いが多いのですが、実は1円でも利益が出ていれば年20万以下の収益であっても、翌年の課税金額を算出するために住民税の申告が必要です。
もしも住民税の申告を行わなかった場合は税務調査が入ったときに申告漏れが明らかになり、税務署に追加納税を迫られます。脱税となる上に利益以上の損失をしてしまうので、申告は必ず行いましょう。
住民税の申告時期は2月の中旬から3月の中旬まで、申告先は各市区町村つまり、最寄りの役所になります。前年に住民税の申告をしている場合は申告時期近くになると自宅に申告書が郵送されてきますが、申告をしていない場合は、区役所や区事務所などに取りにいく必要があります。
申告には申告書・印鑑、収入および経費がわかるもの、所得控除の領収書・証明書、本人確認書類が必要になりますから、事前に用意しておきましょう。申告書を書き終わったら、各市区町村に提出します。窓口が混み合うので、可能ならば郵送で行うとスムーズに申告を終わらせることができます。
ソーシャルレンディングの確定申告に必要な書類
確定申告の時期は、毎年2月の中旬から3月の半ばまでになります。ソーシャルレンディングで確定申告に必要な書類は以下の通りです。確定申告前に手元に用意しておきましょう。
- 源泉徴収票
- 支払調書(年間取引報告書)
- その他所得控除が受けられる場合に必要な書類(控除がある場合)
- マイナンバーカード(通知カード)
支払調書はソーシャルレンディング業者のマイページにログインしその場で印刷するか、PDF化して自分のパソコンにダウンロードして取得します。5年間の保管が義務づけられているので、大切に保管しましょう。
源泉徴収票は、12月ごろに勤めている会社から配布されます。ソーシャルレンディング業者から配布されるわけではないので注意しましょう。
また、医療控除など所得控除が受けられる場合は申告のために書類が必要となります。
書類の作成時間は、慣れている人なら30分ほどで作成できます。初めての場合は1時間から3時間ほど見積もっておくと良いでしょう。
確定申告の手順
確定申告の手続方法について、一通りの流れは以下の手順となります。なお、確定申告期間は2/18〜3/14までの1ヶ月間となっていますから、この間に申請するよう注意しましょう。
1.必要な書類を集める
手元に確定申告書、源泉徴収票の原本、医療費の領収書などを用意しましょう。なお、確定申告書は国税庁のホームページから印刷する方法のほかに、税務署、市区町村の担当窓口などで入手する方法があります。
2.確定申告書の作成
国税庁のホームページにアクセスし、メインメニュー>分野別メニュー>所得税の確定申告に進みます。「確定申告書等作成コーナー」というサービスがあり、金額を入力すると自動で税額をオンライン上に表示してくれるので利用すると便利です。
3.税務署に提出
申告書を作成したら、国税電子申告・納税システムであるe-Tax(なお、使用の際は事前準備・初期登録が必要になります。)にて送信するか、郵便で税務署まで郵送、もしくは税務署に直接持っていきます。
これらの手続きを踏めば、申告完了です。申告について疑問点がある場合は、国税庁のヘルプデスクに電話連絡すれば対応してもらえます。
ソーシャルレンディングの確定申告手順まとめ
ソーシャルレンディングをやる方の中には別の投資や不動産をお持ちの方もいると思うので、その点では注意すべきポイントが幾つか合ったのではないでしょうか。
また副業として気軽に投資する場合も、の利益を確定申告するケースがありますので注意してくださいね。
副業解禁により、こういった投資活動が社会的に容認されやすい状況にはなっていますが、会社員給与との兼ね合いや複数の投資を行っている場合は業務が煩雑になる場合があります。
不安な場合は一度税理士さんなどに相談してみると良いかもしれませんね。