ソーシャルレンディングは投資運用の手間が非常に少なく、貯金よりも利回りが高いため魅力的な投資方法です。

ですがソーシャルレンディングならではのリスクもあります。

FXや株式のような感覚で始めてしまうと、思わぬリスクに見舞われることもありますので事前に確認しておいてくださいね。

 

投資中の案件は信託保全されない

ソーシャルレンディングにはほとんどの場合、信託保全が設けられていないことです。

つまり、貸したお金が戻らなくても、あなたがソーシャルレンディング業者に金銭の変換を求めることはできないことになります。

信託保全がなされていないケースが大半のため、ソーシャルレンディングを実践する際は株式やFXなどの商品と同様と勘違いしないように注意が必要です。

ソーシャルレンディングで投資金が保証されない理由

一般的に投資信託などでお金を業者に渡す場合、お金の所有権は自分のままですが、ソーシャルレンディングでは「投資」のためお金の所有権がソーシャルレンディング業者に移ります。

要は、あなたがソーシャルレンディング業者の企画(案件)に投資をした、という設定になっているわけです。(この設定になっているからこそ、実質的に第三者に個人が融資できることにもなります。

その後、ソーシャルレンディング業者に所有権の移ったお金は、貸金業者であるソーシャルレンディング業者が“ボロワー”と呼ばれるお金を借りたい事業者へ融資します。

この融資の際、お金の所有権はすでにソーシャルレンディング業者です。あなた所有権ではないのです。

つまり、ソーシャルレンディングでは実質的に投資家が第三者である“ボロワー”に資金を“融資”していますし、返済の利息を分配金としてあなたは得ることになるのですが、全てはあなたとソーシャルレンディング業者の信頼の上に成り立っていることである、という点がリスクなのです。

法律的にはお金の所有権はあなたにないため、ソーシャルレンディング業者を信じるしかありません。

あなたが投資したお金が元本保証されていませんので、仮に貸し倒れ・レンディング業者の倒産が起きた場合はお金が戻らないというリスクがあるわけです。

2019年に入ってからも運用中案件が返済遅延となったケースもあるので注意が必要です。

この点が一般的な投資と異なるソーシャルレンディングならではのリスクです。ですから、ソーシャルレンディングを実践する際には信頼と実績のある業者を選び、なるべくリスクを減らすことが大切です。

 

途中で解約できないので資金流動性が低い

株式やFXの場合、見通しが不安になったりお金が必要になったなどの理由で投資家が途中解約をすることができます。

しかし、ソーシャルレンディングでは途中解約ができない点に注意が必要です。

一度出資したお金を現金化する資金流動性がソーシャルレンディングでは低いと認識しておく必要があります。

ファンドの運用がスタートすれば、投資先に利益が出ようが出まいが返済期限が来るまで解約は不可能です。返済期限は、ソーシャルレンディング業者とボロワーの間で決められています。

運用期間の早期終了があるとすれば、ボロワーの事業が予定より早く完了して早期償還された場合のみです。

中には、運用期間が延期になるケースもあります。案件の一部だけ延滞になることが多いものの、投資家にとってはリスク以外の何物でもないでしょう。

リスクを最小限にするためには、できるだけ情報開示の努力を見せているソーシャルレンディング業者を選ぶようにするのが一つの対策です。資金流動性の高い金融商品としては普通預金が挙げられますが、普通預金に比べればどの投資商品でも資金流動性に多少のリスクがあることも念頭に置いておくようにしましょう。

 

資金が運用されない期間も考慮

ソーシャルレンディングは運用されない期間も

ソーシャルレンディングでは、運用期間のみ利息がつく可能性があります。

運用期間はボロワーへの貸付期間ですが、実はレンダーが出資した期間の全てが運用期間というわけではありません。案件の募集が開始してからボロワーに貸付されるまでの期間と貸し付けた出資金がレンダーの口座に戻るという運用前後の期間も存在します。

なかなか運用が開始せず資金がプールされている場合、考えられるのは投資予定の資金が集まらないことです。十分な資金が集まるまで1~3ヶ月ほどかかるケースもあり、出資したら程なく分配金が手に入ると思っていると当てが外れるかもしれません。

逆に、運用期間があっという間に終わってしまう案件もあります。利回りが同じであれば長期間運用するほうが利益も大きくなるのがソーシャルレンディングのメリットだけに、運用期間が短い案件を不利と感じる投資家もいるでしょう。

運用期間以外は、出資した現金が手元に戻らない上に利益が発生しないのは不安に感じるでしょう。長期と短期を組み合わせて運用するレンディング業者も少なくないため、投資家は満期日をずらした複数の案件への投資をするラダリングの手法を取り入れるのが一つのアイディアです。

 

想定より利益が減るリスク

一般に、お金を借りる期間が長いほど利息が大きくなってしまいます。支払う利息を減らすため、お金を借りた人はなるべく早く返済しようとするでしょう。同じことが、ソーシャルレンディングにも発生する可能性があります。

ボロワーからソーシャルレンディング業者に早期返済され、投資家にも早期償還となるケースです。なお融資の利回りの計算方法は、年間利益を投資額で割って100倍にしますから、早く返ってきた=利息が少ないということになります。

投資家としては予定より早めにお金が戻ってきて安心という考え方もできますが、長期運用で利息が膨らむのを期待していた場合は見込み違いとなりかねません。利回りが下回るだけでなく、投資資金に暇ができてしまう可能性が出てくる点もリスクです。

返済期間が早まることは、選定した事業者が悪いということにはなりません。

例えばボロワーがより利回りの低い融資先を見つけて現状の返済を早めたり、スピーディーに好成績で事業を収めたり、ボロワーが返済を早める理由はいくつもあり、必ずしも不良な事業者だったとは限りません。

しかし、投資家にとっては優良な投資案件とはいえないですよね。その点も経験と実践を積んでいくと回避できるケースもありますので、実践を積みながら意識してみると良さそうです。

また、貸し倒れの高くなるケースとして、ソーシャルレンディング業者の出資会社がボロワーになっているケースが上げられます。要はソーシャルレンディング業者が自分の子会社にお金を貸しているケースのため、ソーシャルレンディング業者は出資会社(自分の子会社)に対して返済を求めにくく、貸し倒れとなる可能性が高まります。

ソーシャルレンディングでは貸し倒れや借り換えされることを避けた優良案件を見分けることが大切です。

ソーシャルレンディング業者から開示されている情報はもれなくチェックし、自分なりのコツを見つけてみてください。

 

ソーシャルレンディング業者自体の倒産リスクも高い

ソーシャルレンディング新しい事業の倒産リスク

日本でのソーシャルレンディングは、まだまだ未開な部分が多々あります。ソーシャルレンディング事業者も新興ビジネスの域にあるといって良いでしょう。

大手も参入してきてはいるものの、倒産リスクが高い事業であることは無視できません。資本金や実績が少なくても開業しやすいことから詐欺的業者が絶えない点も金融庁から注意喚起されており、条件の良い案件だからという理由だけで業者を選ぶのは早計です。

特にソーシャルレンディング初心者の場合、バックボーンや資金保全に安心感のある業者を選んだ方がリスク対策となります。大金や全資産を1つのソーシャルレンディング業者に託すのではなく、小口資金を複数の業者に分散投資するのもリスクを避ける方法の一つです。

利息を得られないだけでなく、元手の資金が戻らないのがソーシャルレンディング業者や投資先の倒産による最大のデメリットです。不安でも賭けてみたいというソーシャルレンディング業者がある投資家は、短期の案件への投資をしてみることをおすすめします。

 

その他、始める前に把握しておきたいリスク

ソーシャルレンディングを行う上で、他にも様々な注意点があります。リスクを一つでも軽減するために見逃したくないポイントですが、いずれも常識的なことですから難しく考える必要はないでしょう。

口座開設に時間がかかる(即日開設はできない)

まず、ソーシャルレンディング業者ごとに口座開設が必要になる点と、口座開設までにある程度の期間がかかる点は理解しておきましょう。業者によっては予想より日にちがかかる可能性もあり、一日も早く投資を開始したい場合は焦りが生じてしまうかもしれません。

ソーシャルレンディング業者・案件の管理に混乱しやすい

投資をすると決めた案件管理も一括で行えないため、独力で管理しておかないと混乱しかねない点も注意が必要です。カレンダーやToDoリストのような機能を備えたツールを使って、案件管理するのも良いでしょう。

配当金の確定申告が必要

案件に配当金が出たら、得た利益は雑所得として確定申告しなければならないケースがあります。

総収入額や給与の支払元などによっても異なりますが、それほど利益がなかったからと高を括って確定申告の必要があるかないかも確認しないことだけは避けましょう。万が一申告漏れとなってしまうと、脱税と判断されてしまうリスクが出てきます。

 

ソーシャルレンディングのリスクについてのまとめ

ソーシャルレンディングリスクまとめ

ソーシャルレンディングのリスクについては、独自の背景から来るものもあるため理解しづらい部分もあるかもしれません。

ですが、ソーシャルレンディングが特にリスクが高いということはなく、むしろ全体を俯瞰してみれば低リスクで運用できる資産運用方法ですので、その点を踏まえて実践を検討してみてくださいね。

※ソーシャルレンディングについておすすめする内容になっていますが、最終的な判断は個人でお願い致します。
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